ジストニアとは? 

 ジストニアは本人が意識しないのに筋肉が勝手に緊張してしまって、考えてもいない姿勢や動作が現れてしまう病気です。

 この病名は20世紀初頭にドイツのオッペンハイマーによって提唱されましたが、その後疾患自体の定義が二転三転したため、最近まで病気の定義自体がはっきりしませんでした。このため分類も様々なものが提唱されていて、国際的に確定したものはありません。

 ジストニアには症状が全身に現れるものと体の一部にしか現れないものがあり、後者が局所性ジストニア、すなわちフォーカル・ジストニアと呼ばれています。

 またジストニアには症状の現れ方に違いがあり、常に症状が出ているタイプと、時々しか出ないタイプとがあります。後者には普段は何ともないのに、特定の動作を行おうとすると筋肉が緊張する特殊なものがあり、その代表が字を書く時だけに症状が現れる書痙です。このように、特定の動作時に発症するジストニアを動作特異性ジストニアと呼びますが、音楽家のジストニアの多くもこのタイプに属します。

 

ジストニアの発生頻度は?

 ジストニア全体の一般人口に対する発生率は10万人に6.1~29.5人とされています。

 しかし音楽家のジストニアは音楽家全体の0.5~1.0%に発生すると報告されており、音楽家の動作や訓練の特殊性を考慮に入れても、発生頻度の極端な高さを疑問視する意見があります。

 音楽家の場合、同じ演奏動作でもテクニックによって症状の出方が異なるという特徴があり、従来ジストニアと診断されてきた病気と同じカテゴリーに入れていいかどうかは、議論の余地があります。つまり音楽家のジストニアと言われている手の異常のなかに、従来のジストニアの概念とは異なるものが含まれているのではないか、と考える研究者もいるのです。

 

ジストニアの原因は?

 ジストニアの原因として、脳のなかの大脳基底核がかかわる神経回路の異常説が有力視されていますが、残念ながらまだわかっていません。

 酒井理事長は音楽家のジストニアに治癒する例と、難治性の例があることから、機能的MRI(f-MRI)を使ってジストニアの音楽家の脳を調べる研究を行いましたが、詳細は明らかになりませんでした

 現在も世界中の医師や脳科学者が、原因究明に取り組んでいます。

ジストニアの音楽家のf-MRI画像